FLO Cycling – 空気力学的なホイールのチュートリアル

私たちは、特に良かったブログの内容をいくつか再掲載します。書き続けて約3年経ち、記事数は約150になり、新しく入ってきた当社のファンの中にはきっと当社の特に良かった記事をいくつか見逃しているはずです。 今週はかなり昔を振り返り、当社の空気力学的なホイールのチュートリアルを行います。なぜ空気力学的なホイールがより速いのか疑問に思ったことのある方は、続きをお読み下さい!


空気力学的なホイールのチュートリアル

いくつかの用語を定義するところから始めましょう。

ヨー角
ヨー角とは、風がホイールと接触する角度です。下の絵をご覧下さい。Aでは、 (青い矢印) 0度でホイールに当たっています。これは0度のヨー角で、風がまっすぐ吹いてくる時に体感するものです。Bでは、 風は今度は20度の角度でホイールと接触しています。これは20度のヨー角で、自転車走者は向かい風と横風の組み合わせを体感します。

A  
図B
先端
視覚的な内容から始めましょう。穏やかな湖を進むカヌーを想像して下さい。そのカヌーの前部は、水を切り開く最初の部分となります。 そのため、その部分が「先端」と定義されます。 風の中のホイールも違いはありません。空気も水と同じように流体であることをお忘れなく。

ホイールは2つの先端を有し得ます。ホイールの前部のタイヤと、ホイールの後部のカーボンファイバーのフェアリングです。ホイールのヨー角が0度の場合、ホイールの前部が唯一の先端となります。これは、ホイールの後部がホイールの前部に「隠れて」いるためです (Cをご覧下さい)。ヨー角が0度を超える場合、今度は先端が2つになります。 Dは、20度のヨー角の風を示しています。ホイールの後部はホイールの前部に「隠れる」ことができなくなったため、そちらも風を受けることになります。そのため、先端と定義されます。 

C
D

抵抗
抵抗とは、物体が流体を通る動きに反するように物体にかかる力と定義されます。もう1つ水の例を出しましょう。腰の深さの水の中に立って前方に走ろうとする場合に体感する、食い止めようとする力が抵抗です。空気にも、水ほどではありませんが抵抗があります。     

揚力
揚力または横力は、空気力学的なサイクリングホイールの設計の際に考慮すべき最も重要な力の1つです。揚力の3つの主要な要素をより良く理解して頂くため、次は空に焦点を当て、飛行機について話しましょう。
E
飛行機は翼によって飛ぶことができますが、どのように飛んでいるのでしょう? この疑問に答えるため、飛行機に作用する力を見てみましょう (E)。推力とは、前に進むために飛行機のエンジンによって生み出される力です。抵抗とは、飛行機の前方への動きに反する、空気によって働く力です。今のところ、これらの2つの力は無視しましょう。 

重力とは、飛行機を地面に留めようとする地球の引力です。揚力とは、飛行機を地面から離すために生み出す必要のある力です。フライトを行うには、揚力を重力より大きくする必要があります。揚力は、翼によって生み出されます。翼には3つの主要な要素があり、それらが翼が生み出す揚力の助けとなっています。その3つの主要な要素とは以下の通りです。

1.翼の形状。 
2.翼の迎角。
3.翼の速度。

形状によって、空気 (流体) がどのように翼の周囲を動くかが制御されます。気流を制御することで、翼の下に高い気圧の部分を、そして翼の上に低い気圧の部分を作り出すことができます。物体の反対側に気圧の差が存在する場合はいつでも、風船のように、気圧の高い側が物体を気圧の低い側へと押していきます。空気 (気圧) を風船の中に吹き込めば吹き込むほど、その風船は大きくなります。これは、高い気圧が風船の内部を外部へと押していくためです。フライトを行うには、翼の下に十分に高い気圧を作り出すことで飛行機を地面から持ち上げる必要があります。 

迎角とは、翼が空気中を進む角度です。これは、ホイールのヨー角と同じです。迎角が増加するほど、臨界迎角に到達するまで揚力が増加していきます。臨界迎角とは、最大の揚力を生み出す角度です。動いている車の窓から手を出した時のことを考えてみて下さい。手を上または下に向ける (仰角を変える) ことで、手を上または下に移動させることができます。いずれの方向でも手が遠くに移動しすぎると、上または下に移動しなくなり、代わりにまっすぐ戻ってきます。 

最後に、翼が空気中を進む速度について。ここではその答えはシンプルで、速ければ速いほど、生み出す揚力は大きくなります。 


ホイールの設計
空気力学的に効果的なレースホイールを設計する際、考慮すべき非常に重要なポイントが2つあると私たちは考えます。1つ目のポイントは、抵抗の低減です。より速くするには、ホイールは空気抵抗を可能な限り減らさなければなりません。2つ目のポイントは、ホイールの乗り心地と安定性です。強い横風の中でリムの深いホイールに乗ったことのある方なら誰でも、ホイールの制御が難しいことを知っています。そのため、横風での安定性の優れたホイールを設計することが重要です。 

横力 (揚力) と抵抗
サイクリングの世界では、揚力は横力と呼ばれています。 Fは、0度のヨー角のホイールを示しています。  この場合、ホイールが受けるのは抵抗のみです。風はホイールの両側の周囲に均等に吹いているため、横力は0に等しくなります。 
F
Gは、20度のヨー角のホイールを示しています。飛行機の例を再び考えると、仰角が増加したことになります。これにより、風に直面している側により高い横力が発生し、揚力が生み出されます。
G
ここで標準的なトレーニングホイールが受ける横力を考慮してみましょう。標準的なトレーニングホイールはリムの深さがほとんどないため、それによって生み出させる横力は非常に小さいです。議論のために説明すると、抵抗は多かれ少なかれ横力と等しくなっています。 ただし空気力学的なホイールは、リムの形状がずっと深く、表面積が増えています。表面積が増えることで、より高い抵抗の力 (抗力) が生み出されます。フェアリングの形状が効率的だと横力が増加します。重要なのは、抵抗と比較してより高い割合の横力を生み出すフェアリングの形状を設計することです。 

なぜ私たちは横力を求めるのでしょうか? 力ベクトルの説明から始めましょう。力がある角度で表面を押す時、その力の一部がその物体をX方向に押し、またその力の一部がその物体をY方向に押します。Hをご覧下さい。 

H
横力のベクトル成分とホイールに作用する抵抗を見てみましょう。 Iは、横力のY成分が実際に抵抗のY成分の反対になっていることを示しています。理論的には、抵抗と比較して十分に高い横力を生み出すことができれば、横力のY成分は抵抗のY成分よりも大きくなります。このようになると、ホイールは実際に自転車走者を前方に押していきます。  これは、負性抵抗として知られています。

I


こちらに数値上の例を2つ示します。

標準的なボックスリムホイール
合計抗力 = 100g
抗力のY成分 = 93.97g

合計横力 = 100g
横力のY成分 = 34.20g

合成抗力 = (抗力のY成分) – (横力のY成分)
合成抗力 = 93.97g – 34.20g
合成抗力 = 59.77g

空気力学的なホイール
合計抗力 = 150g
抗力のY成分 = 140.95g

合計横力 = 450g
横力のY成分 = 153.90g

合成抗力 = (抗力のY成分) – (横力のY成分)
合成抗力 = 140.95g – 153.95g
合成抗力 = 12.95g

横風での安定性またはヨートルク
遊び場のシーソーを想像して下さい。体重50ポンドの子供を片方に配置し、体重70ポンドの子供を反対側に配置します。体重50ポンドの子供がすぐに空中に上がることは誰でも分かります。 

理論的には、自転車の前輪も同じです。ホイールの前半分、ホイールの後ろ半分、そしてステアリング軸があります。ホイールの前半分を押して後ろ半分のみをそのままにすると、ホイールはステアリング軸を中心にして押した方向に回転します。Jをご覧下さい。 
J
横風の中で安定するホイールを作ろうとする場合、ホイールの前半分にかかる横力がホイールの後ろ半分にかかる横力と等しくなることが望まれます。これは、シーソーの両側に50ポンドの子供を配置するのと同じようなものです。こうすることでホイールのいかなる回転も防ぎます。ホイールの前部にかかる横力がホイールの後部にかかる横力よりも大きい場合、何らかの突風が吹けばすぐに1つの方向に回転しまいます。 

このチュートリアルがサイクリングホイールの空気抵抗の基本を理解するのに役立てば幸いです。 素晴らしい内容をもっとご覧になりたい方は、右の欄の一番上で当社の無料の月刊ニュースレターに登録して下さい。 その月に私たちが投稿する全ての記事へのリンクをお送りします。 何か質問があれば遠慮なくお尋ね下さい!

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クリス